20年間ありがとう。旅するリトハピ。
2026.7.13
はじまりは、駐車場の片隅から
2006年7月13日。
駐車場の、ほんの一角。 コーヒーショップから始まったお店。
何も分かっていませんでした。
ウイスキーのことも、ラム酒のことも、商売のことも、経営のことも。
そもそも私は、お酒もほとんど飲めませんでした。
でも、あの頃の私は
「お客様が喜んでくれると、嬉しい。」
ただそれだけで、毎日がわくわくしていました。
お客様の「ありがとう」の一言で、一日がまるごと報われていました。


走り続けて、変わっていったもの
それから、20年が経ちました。
スタッフを雇い、店舗展開し、理想を追い求めて組織を作ろうとしました。
無我夢中でした。本気でした。
でも、いつからか、あのワクワクも、嬉しさも、感動も、変容していきました。
評価を受けること。応えること。回し続けること。
お客様に、市場に、スタッフに、周りに。
「どう成果を作るのか」がいつも先に立って、自分の心が本当に動いているかどうかは、ずっと後回しになっていました。


凪の中で、スイッチが入った
去年までの私は、凪の中にいました。
組織を手放してから、目標がなくなってしまって。
ありがたいことに、今までの蓄積がある分、ただお店を開けているだけで成果は出ます。
穏やかだけれど、何のためにやっているのか、見出せない日々。
それが、今年の1月。
三郎丸蒸溜所を訪ねたとき、心を鷲掴みにされてしまいました。
稲垣社長の生き方がカッコ良すぎて。
これまで訪れた蒸溜所のストーリーが、私の中で、ババババーっと繋がった。
自分が感動するスイッチが、また入った音がしました。
そこからは、そのとき心が動いた場所に、気がついたら向かっていました。
富山、新潟、秩父、小諸、仙台、福島、静岡、香川、台湾、ラオス。
今年に入ってからだけでも、いろんな場所を旅しました。
あぁ、これだ、と思いました。
20年前、駐車場の一角で感じていた、
あの感動とドキドキ。
カタチは違っても、根っこは、あの頃と同じでした。
だからきっと私は、また突然お店を休んで、どこかへ行くと思います。
ストーリーのあるところへ。感動の生まれる現場へ。

いちばん感動しているのは、私自身
21年目の私は、決めました。
まず、自分がわくわくすること。
そのウイスキーやラム酒が、どんな人の、どんな人生から生まれたのか。
それを知るたびに、私は今も、心の底から感動しています。
昔は時間がなくて、その感動をお店で話して、それで終わっていました。
今はこうして、ブログに綴る時間もある。
書けば書くほど、その造り手さんのことを深く知って、もっと好きになっていく。
評論家でも、専門家でもなく。 ただの、大好きな造り手さんの、いちばんの推し活。
その感動を、一杯にのせて、カウンターでお渡しする。
すると、お客様まで、その蒸溜所のファンになってくれる。
造り手さんの想いが、私を通って、また一人へと旅していく…
それが、私の、いちばんの幸せです。
これまでずっと、評価を受けることを軸にやるのが、経営でした。
数字より、心が動く方を。
これって、ビジネスとしては、たぶん逆をいっています。
それで成り立つのかどうか、私にもまだ分かりません。
でも、もう決めたんです。私はこれから、そうやっていく、って。


この想いを、造り手のイアンさんに話したことがあります。 すると、こんな言葉をくれました。
「美香さんは、自分のいるべき場所を見つけたんですね。 そのまま、その道を歩み続けて。 それが、Bar Little Happinessを特別な存在にしてくれると、心から信じています」
そっと、背中を押してもらえた気がしました。
同じ世界を旅する、仲間へ
20年間、本当にありがとうございました。
嬉しいことも、悔しいことも、悲しいことも。
すべては、きっと「必然」でした。
ウイスキー・ラムを愛し、Barという場所を愛する。
それだけで、私たちはもう、同じ世界を旅する仲間。
ウイスキーとラム酒を愛する旅を、これからもご一緒させてください。

ウイスキーも、ラムも。造り手の想いに触れたとき、もっと美味しくなる。
出逢いは必然。Rum & Whiskyの世界へ、ようこそ。
(20年間を「20の記憶」と題して、こちらに綴っています。)
Thanks 20th Anniversary「20の記憶」バックナンバー
- vol.1 22歳、ワーキングプアだった私が見つけた光。
- vol.2 20年目の原点回帰。「目の前の一人」を感動させるということ。
- vol.3 光と闇の時代。憧れと、現実と。
- vol.4 9年前の記事が繋いだ、一夜
- vol.5 傲っていた頃の、恥ずかしい記憶
- vol.6 ガーナに診療所を建てた話