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新潟亀田蒸溜所 Gemini|オロロソ×ミズナラの双子の物語

2026.7.25
新潟亀田・geminiがバーリトルハピネスのカウンターに並んでいる

新潟亀田蒸溜所「Gemini」が一本に重ねた「二つの個性」

「もしウイスキーを人に例えるなら、どのような人でしょう」

新潟亀田蒸溜所Zodiac Sign Seriesのボトルの箱には、いつもこの問いが書かれています。

今回、手元にやってきたのは双子座。

箱には、こう続きます。

「静かに語りかける双子座の女性」

ラベルに描かれているのは、光を思わせる淡い金色の髪の女性と、静かにたたずむ木々のような茶色の髪の女性。

似ているようで違う二人が、一対の反射鏡のように互いを写し照らし合っている、と。

華やかさと静けさ。

無邪気さと繊細さ。

自由と現実。

西洋と東洋。

その「二つの個性」を、一つのウイスキーの中に重ねました——そう書いてあるのです。

この一文を読んだとき、私は蒸溜所で聞いたある言葉を、思い出しました。

亀田蒸溜所・入口

ノーマークだった亀田蒸溜所のファーストリリース。

広島から新潟へ突き動かした、あの日の一杯

全国でクラフト蒸溜所が急増するなか、亀田蒸溜所は私のノーマークでした。

去年の11月、あるウイスキーイベントで、たまたま一杯いただいた。それだけの出逢いだったんです。

ところが、飲んで言葉を失いました。

「なんだ、この綺麗なウイスキーは……!」

しかも、いつからされているのか聞いたら、まだ3,4年くらいと・・・

衝撃的でした。

すでに柔らかく、澄んだ酒質で、綺麗だったのです。

後で調べたら、注いでくださっていたのは、社長ご本人でした。

HPには蒸溜所見学は受け付けていないと書かれていましたが、居ても立ってもいられず、不躾を承知で直談判。

そうして広島から新潟へ向かったのが、あの旅でした。

→ 広島から新潟へ。亀田蒸溜所訪問記①

ちなみに、そのときのファーストリリースのリトハピの在庫はもうありません。

飲みたい方には申し訳ないです。

新潟亀田蒸溜所の堂田社長と広島Bar LIttle Happinessの谷本美香。ポットスチルの前で対談

そして今、亀田蒸溜所の見学ツアーが始まりました

ここで、大きなお知らせです。

現在、亀田蒸溜所では一般の見学ツアーが始まりました。

私が直談判した頃は、見学を受け付けていなかったですが、

それが今は、予約さえ取れば誰でもあの空間に入れる!

少人数制で、最後にテイスティングまでついてくるみたいですよ!

新潟駅から、バスで行って、ちょっと歩けば行けるので、行きやすいと思います!

新潟亀田蒸溜所 見学ツアー(公式)

木桶、長い発酵、狭いミドルカット。あの「綺麗さ」を支える、堂田社長の仮説と検証

蒸溜所で見たのは、驚くほど緻密な世界でした。

製薬会社のMRだった堂田社長は、文献をもとに仮説を立て、比較対象を置いて検証するという思考法を、そのままウイスキー造りに持ち込んでいます。

発酵タンクを木桶にするかステンレスにするかで悩み抜いた末、「それなら自分で作って試すしかない」と両方導入して同条件で仕込み、味を比べたという話には震えました。

答えは明確で、現在は全量が木桶仕込みです。

亀田蒸溜所・木桶発酵

使わなくなったステンレスは、外に置かれていました。

なんと思い切りが良いのでしょう!

発酵時間はあえて長く取り、乳酸発酵を十分に促す。

酵母も標準より多めに入れて、原酒に厚みを持たせる。

そして蒸溜では、ミドルカットの幅を意図的に狭く設定する。

効率を捨てて、雑味のない一番美味しいところだけを切り取る。

あのニューメイクの綺麗さは、こうして設計されたものでした。

木桶とミドルカットの秘密。亀田蒸溜所訪問記②

「ハウススタイルはまだない」。幅を示している最中の亀田蒸溜所が選んだ、オロロソ×ミズナラ

そして、私が今も忘れられない言葉がこれです。

「亀田のハウススタイルは何?と言われると、まだ全然出来上がっていない、これからです」

自分たちがどこからどこまでできるのか。

その幅を皆に示すために、あえて性格の全く異なる原酒を世に出している最中なのだ、と堂田社長は語ってくださいました。

熟成庫には、バーボン樽を軸にミズナラ、フレンチオーク、スパニッシュオーク、ラム樽、ワイン樽、山桜まで並んでいました。

カナダから取り寄せたメープルシロップ樽にピーテッド原酒を詰める、という常識外れの実験もありました。

樽の実験と、亀田が描く可能性の地図。亀田蒸溜所訪問記③

Geminiの箱に書かれているのは、バーボン樽、オロロソ、そしてミズナラカスクフィニッシュ。

でもその中で特別な興味を持っていたのが、オロロソシェリー樽で熟成した原酒を、ミズナラ樽で追熟するという組み合わせだった、と。

亀田蒸溜所・貯蔵庫

同じ時期に生まれた双子。別々の道を歩いて、最後に合流した二つの原酒

ここからの話が、私はたまらなく好きです。

同じ時期に、二つの原酒がそれぞれ樽詰めされました。

ひとつはバーボン樽へ。

もうひとつはオロロソシェリー樽へ。

同じところから始まって、違う場所で育っていったわけです。

それから2年半ほど経った頃、オロロソシェリー樽の原酒だけが、ミズナラ樽へ移されます。

そこから、さらに11ヶ月。

白檀のような、日本の香木の香りをまとって帰ってきます。

その間ずっと、バーボン樽の原酒は静かに待っていました。

そして最後に、この二つがバッティングされて、一本になる。

……双子です。

文字通りの、双子。

始まりは同じで、歩いた道が違って、それでも最後にまた並んで立っている。

新潟亀田・geminiがバーリトルハピネスのカウンターに並んでいる

「溶け合うのではなく、互いを引き立てながら」

実際に樽から取り出したとき、予想どおりの部分もあれば、予想を超える部分もあった。

そして、こう書いています。

「それぞれの個性は一つに溶け合うのではなく、互いを引き立てながら存在していました」

溶け合わない。

混ざって一つの新しい味になるのではなく、二つのまま、隣に立っている。

オロロソ由来の、ドライフルーツやナッツを思わせる西洋的な深みと複雑さ。

ミズナラ由来の、香木を思わせる奥ゆかしい香り。

それが並んだまま、互いを引き立て合っている。

異なる個性を持つ者同士が、共存しているように感じられた——だからGEMINI、双子座なのだと。

樽の履歴を知ってからこの一文を読むと、世界観が素敵すぎませんか?!

双子座の「二つの個性」は、亀田蒸溜所そのものの姿

箱のコピーを、もう一度読み返してみましょう!

対照的でありながら、互いを写し照らし合う二人。

最初に見せる表情と、時が経つにつれ現れる表情は少し違う。

グラスを傾けるたびに、少しずつ印象が変わっていく。

「幅を皆に示している最中」と語った亀田蒸溜所が、その幅を一本の中に並べてみせた。

二つの個性を隣り合わせのまま立たせる。

ここまでのシリーズを思い返すと、その意味がよくわかります。

ファーストリリースはフルーティさ。

二本目はスモーキーさ。

そして三本目のGeminiは、そもそも軸が違う。

味の方向で幅を見せるのではなく、二つの個性を並べるという構造そのもので勝負してきました。

毎回、前の一本からは予想できないところへ行くのです。

似ているようで違う二人が、互いを写し照らし合う。

箱に書かれていたあの一文は、飾りではありませんでした。

樽の履歴も、造り手の言葉も、全部そこに繋がっている。

一本のウイスキーに、ここまで一貫した設計が通っているのが、私はたまらなく好きです。

……で、四本目は何なんでしょうか。

まったく読めません。

それが、亀田蒸溜所を追いかけていていちばん楽しいところです。

ゾディアックシリーズに込められた物語。亀田蒸溜所訪問記④

テイスティングノートをこう結んでいました。

「この一本から、私たちが感じた発見や驚きを、少しでも共有できれば幸いです」

教えるのではなく、共有したい。

この言葉が、私はいちばん好きです。

双子座の人も、そうじゃない人も、飲んでみてね!

公式テイスティングノート

香り:花、オレンジピール、はちみつ

味わい:干しぶどう、ナッツ、イチジク、焦がしたメープルシロップ

余韻:ミズナラ由来の白檀を思わせるオリエンタルな印象と、穏やかなスパイス感が長く続く

このボトルについて

新潟亀田蒸溜所 Zodiac「Gemini」はBar Little Happinessの店頭にてお楽しみいただけます。

また、店頭では小瓶(量り売り)でお持ち帰りいただくことも可能です。

お時間が限られている方、アルコールに弱い方、旅の記念に一本お持ち帰りいただきたい方にご利用いただいております。

【谷本からの補足】

この亀田蒸溜所に関する記事は、実際に現地を訪問した体験と、ボトルに添えられた公式テイスティングノートを基に執筆していますが、一部谷本の個人的な考察や解釈が含まれています。

一人のウイスキーLOVERの独り言としてお楽しみいただければ幸いです。


「ウイスキーもラムも造り手の想いに触れたとき、もっと美味しくなる」

出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。

📍 Bar Little Happiness

広島市中区流川町5-14-1F

月〜土:19:00〜24:30 / 日:〜24:00

(最終入店・約1時間前)

定休日:ほぼ年中無休

ご予約・お問い合わせは、公式LINEから🥃

🔗 オンラインショップ:https://shop.little-happiness.jp/