亀田蒸溜所訪問記③完売続出のレアボトルを生んだ「実験室」と、農協の倉庫に眠る宝物
2026.2.03
イベントでの衝撃以来、どうしても手に入れたかった亀田のボトル。
どこを探しても「在庫なし」だったその貴重なウイスキーの故郷を訪ね、その場所は、無限の可能性を試す「実験室」だと感じました。
「ハウススタイルはまだない」という攻めの美学。マルス信州蒸溜所との絆と、亀田が描くウイスキーの無限の地図
「亀田のハウススタイルは何?と言われると、まだ全然出来上がっていない、これからです」と社長は語ります。
今は、自分たちが「どこからどこまでできるのか」という幅を皆に示すため、あえて性格の全く異なる原酒を世に出している最中なのだそうです。
その姿勢を象徴するのが、熟成庫に並ぶ、驚くほど多様な樽の数々です。
ベースとなるバーボン樽はもちろん、ミズナラ、フレンチオーク、スパニッシュオーク、さらにはラム樽やワイン樽、山桜の樽までもが導入されています。
自社で用意するだけでなく、「マルス(本坊酒造)」からもリフィル樽を譲り受けていました。
様々な樽を試しながら、より好みの酒質を生む可能性を感じており、他蒸溜所との縁も大切にしながら「理想の樽」を追求しています。

カナダ産メープルシロップ樽×ピート原酒の禁断の出会い!常識を覆す「甘美なスモーキーさ」
中でも度肝を抜かれたのは、カナダから取り寄せた「メープルシロップ樽」です。
これは、バーボンを熟成させた後の樽でメープルシロップを寝かせていたという極めて珍しい樽。
社長はそこに、あえてピーテッド原酒を詰め込みました。
「甘さと辛さが共存するような複雑なパンチのある構成が好き」という狙い通り、それは甘い香りとスモーキーさが同居する、唯一無二の味わいへと化けているのだそうです!
また、樽の管理には、キルホーマン蒸溜所に倣って鏡板を色分けし、使用回数を一目で判別できるようにするなど、視覚的な管理にも余念がありません。


JAの米蔵が、世界を驚かせるウイスキーの聖域に。地域品種「雪花六条」から繋がった、新潟・亀田ならではの熟成環境
そして、この多様な原酒たちが眠る場所が、また意外性に満ちていました。
現在、亀田蒸溜所の貯蔵庫は3か所にありますが、中でも社長が「ベストな環境」と自信を見せるのが、農業倉庫です。
ここはもともと農協(JA)が米を貯蔵していた低温倉庫で、頑丈な「石倉」造り。
温度管理もバッチリで、ウイスキーをゆっくりと育てるにはこれ以上ない場所だといいます。
実はこの倉庫を借りられたのも、地元の麦「ゆきはな六条」を農家さんと共に作ってきた縁があってこそ。
「農協さんに相談して、古い倉庫を譲ってもらった」というエピソードは、地域と深く繋がる亀田蒸溜所ならではの物語です。
あのイベントでの出会いは、決して偶然ではありませんでした。
「知っている人が少ない今こそ、この価値を伝えたい」。
そう思わずにはいられないほど、亀田蒸溜所は、新潟の地で着実に「世界の亀田」への階段を登っていました。
しかし、なぜこれほど大胆な挑戦を続けられるのか。
最終回では、奥様の『作ればいいじゃん』という言葉の向こうにあった一族のスピリット、そして社長がウイスキーと『うなぎ』に託しました、社会とともにある未来についてお届けします。
出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。

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出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。
【谷本からの補足】 この亀田蒸溜所に関する記事は、実際に現地を訪問した体験を基に執筆していますが、一部谷本の個人的な考察や解釈が含まれています。 一人のウイスキーLOVERの独り言としてお楽しみいただければ幸いです。
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【この記事を書いた人】
谷本 美香(Mika Tanimoto)
株式会社Little.m 代表取締役/オーナーバーテンダー
広島・流川で2006年からウイスキーとラムの専門店「Bar Little Happiness」を営む。国内外の蒸溜所を訪ね、造り手の話をコラム「ウイスキーとラムの手帖」に綴っている。広島市優良技能者。
「ウイスキーもラムも、造り手の想いに触れたとき、もっと美味しくなる」
【お店の情報】📍 Bar Little Happiness
広島市中区流川町5-14 Rolling流川 1F
月〜土 19:00〜24:30/日 19:00〜24:00(店主が蒸溜所へ旅に出る日はお休み)
ノーチャージ・予約不要
🛒 遠方の方はオンラインショップからもお求めいただけます。