沖縄ウイスキー・琉歌が放つ、天狗ウイスキー ― ゴーストシリーズ #26
2026.8.03
琉歌 ゴーストシリーズ#26。スパニッシュオーク・ノンピート、328本限定。
沖縄で造られたウイスキーのラベルに、広島の武将が描かれています。
小早川隆景。
毛利元就の三男で、三原城を築いた人です。
そのボトルが、ご縁をいただいてリトルハピネスに来てくれました。
ゴーストシリーズに、沖縄が入った
ゴーストシリーズをご存知ない方のために少しだけ。
ベルギー出身の、ステファン・ヴァン・エイケンさんという方がいらっしゃいます。
『Whisky Rising』著者。
ジャパニーズウイスキーの英語情報源として長らく決定版だったサイト「Nonjatta」編集長。
『ウイスキー・マガジンUK』日本地域担当エディター。
World Whiskies Awards 日本パネル。
そしてウイスキーチャリティイベント『Spirits for Small Change』主宰。
そのステファンさんが2013年から続けているのが、ゴーストシリーズです。
このシリーズが選ぶのは、単に美味しい樽ではなく「その蒸溜所の定番ボトルとは異なる、意外で個性的な一面を持つ樽」を厳選してボトリングしています。
いつものあの顔ではない顔。その蒸溜所自身も、まだ表に出していなかった一面。
ラベルはすべて月岡芳年の『新形三十六怪撰』。
幕末から明治にかけて活躍した、最後の浮世絵師と呼ばれる人の妖怪画です。
これまで軽井沢、秩父……と、名だたる蒸溜所が並んできました。
そこに、沖縄が入ったんです。
「これまで無名だった蒸溜所」としては異例です。

(SNSから拝借)
池袋のバーから始まった話
きっかけは、2025年8月。
州崎蒸溜所のスタッフさんが、東京・池袋のAloha Whisky Barを訪ねたことでした。
持ち込まれたカスクサンプルは2種類。
そのうち、ブラッドオレンジを思わせる香りが際立った樽が選ばれ、その場でシリーズ入りが決まったそうです。
セカンドフィルのスパニッシュオーク・ホグスヘッド。麦芽はノンピート。
一度シェリーを寝かせた樽の、二回目の使用です。
新樽やファーストフィルのように樽が前に出てこない分、原酒そのものの果実味が素直に出てくる。
そこにピートの煙をまったく乗せていない。
選んだのは、ステファンさんと、Aloha Whisky Barのデヴィッド・ツジモトさん。
おふたりが続けてきたテイスティングイベント「Aloha Whisky Rising」の、第30回を記念する一本としての選定でした。
その場で、です。
バーのカウンターで、一杯のサンプルを挟んで、こういうことが起きる。
わたしはこの話がとても好き!!
造り手さんがサンプル瓶を鞄に入れて電車に乗って、扉を開けて、注いで、そこで人生が変わる。
ウイスキーの世界って、いまだにこういう距離感で動いているんですよね。
待った時間と、削った度数
ただ、選定されたときこの原酒は樽詰めからまだ2年ちょっとでした。
ジャパニーズウイスキーを名乗るには、満3年。
日本洋酒酒造組合が2021年に定めて2024年4月から本格適用されている、あの自主基準です。
沖縄の気候ですから、熟成の進みは早い。
2年の時点ですでに味わいは十分に仕上がっていたといいます。

(HPから拝借)
原酒はカスクストレングスで64.2%。
2026年3月、原酒のまま・57%・50%の3パターンを用意して、蒸溜所のブレンダーさんとステファンさん、Aloha Whisky Barさんの3者でブラインドテイスティングをしたそうです。
結果は、満場一致で50%。
年間10%のエンジェルズシェアということは、樽の成分がものすごい勢いで抽出されているはずなんです。
3年でも、本州の3年とはまったく別物。64.2%のままの原酒は、相当に濃かったと思います。
それはそれで、きっと素敵だったはずなんですよ。
飲んでみたかったな〜〜!

2026年6月末に満3年を迎えて、7月上旬に瓶詰め。
そして選ばれたラベルが、『小早川隆景彦山ノ天狗問答之図』。
幕末、明治を代表する浮世絵師である月岡芳年最晩年の連作『新形三十六怪撰』の一枚です。
豊臣秀吉が朝鮮に攻め込むことを決めて、大量の軍船が必要になりました。
その材料として目をつけられたのが、彦山のクスノキの大木です。
秀吉は隆景に、伐ってこいと命じます。
彦山は、山そのものが信仰の対象になっているような場所です。
当然、山を守るお坊さんたちは渋ります。
それでも隆景は話をつけて、伐採の許可を取り付けました。
そのときです。
突風が吹いて、大天狗が現れます。
「この山ができてから今日まで、誰もこの木を伐ったことはない。それを伐るとは、神も仏も恐れない悪行だ」
隆景は、こう返しました。
秀吉様は、天皇に代わってこの国を治めている。彦山も、この国の中にある。その命令に背くということは、国そのものに背くということですよ、と。
隆景が、説き伏せました。
以来、彦山から大きなクスノキは無くなったと伝わっています。
絵は、この問答の場面です。
手前に大きく天狗。
その向こうに、風を表す線が何本も走っていて、線の隙間から隆景たちの姿が小さく覗いている。

州崎蒸溜所
造っているのは新里酒造さんの州崎蒸溜所。
1846年創業、現存する沖縄の酒造所としては最古とされる泡盛の蔵です。
ウイスキーを始めたのは2020年。
①エンジェルシェアが高い
エンジェルシェア年間10%超。
亜熱帯の沖縄では樽の成分が短期間で力強く出てくる代わりに、中身がどんどん減っていきます。
「日本一天使に愛される蒸溜所」と評されたことがあるそうです。
②発酵が長い。
ふつう2〜3日のところを、6〜7日。倍です。
酵母の仕事は最初の2日で終わっていて、そのあとは乳酸菌が果物のような香りを育てる時間になります。
つまり香りを作る時間を、他所の倍とっている。
③糖化槽が特注品。
麦から甘い汁を取り出す糖化槽を、ウイスキー設備の専門メーカーではなく沖縄県内の業者さんに作ってもらっています。
蒸留器はイタリア製。
公式テイスティングノート
香り — マラスキーノチェリー、アプリコットジャム、ベイクドアップル、そして皮製品を思わせる豊かでフルーティーな香り。
味わい — ブラッドオレンジシャーベット、マサラチャイ、杏仁豆腐。
余韻 — キャラメルムースやチェリーコーディアルの香りが心地よく残る長い余韻。

いつか州崎蒸溜所にも行ってみたい!!
今年、リトルハピネスは創業20周年でした。
「20th anniversary bottling〜旅するLito〜」として桜尾と、イチローズモルトをリリースしました。
ずっと憧れていたお店に置いていただきたくて、突然、連絡を取らせていただきました。
面識のない方ばかりです。
返事が来るかどうかも分からない。連絡するときは、正直、ものすごく勇気が要りました。
Aloha Whisky Barさんも、そのうちの一軒です。
ウイスキーもラムも、造り手の想いに触れたとき、もっと美味しくなる。
出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。
📍 Bar Little Happiness
広島市中区流川町5-14-1F
月〜土:19:00〜24:30 / 日:〜24:00
(最終入店・約1時間前)
定休日:ほぼ年中無休
ご予約・お問い合わせは、公式LINEから🥃
最新情報は、Instagramストーリーにて⭐️
🔗 オンラインショップ:https://shop.little-happiness.jp