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【カードローナ蒸留所】ハンドフィルと野生のジビエ

2026.3.07
カードローナ蒸溜所のレストランにて。鹿肉のステーキ

ニュージーランド、カードローナ蒸留所を巡る旅もいよいよクライマックス。

これまでのエピソードを締めくくる、至福の体験と未来への展望を綴ります。

「止まった時間」が育んだ原酒

ニュージーランドはパンデミックの影響で、約2年半もの間、国境を完全に封鎖していました。

ちょうど出荷を加速させたいタイミングで観光客が途絶え、経営的には非常に苦しい時期を過ごしたそうです。

スタッフたちはただソファに座ってYouTubeを見ながら、国境が開くのを待つしかない日々も。

しかし、この「止まってしまった時間」は、ウイスキーにとっては最高の贈り物となりました。

売るに売れなかった原酒たちが、貯蔵庫で静かに熟成を続けたことで、カードローナには素晴らしい古酒が豊富に残る状態となりました。

カードローナ蒸溜所の熟成庫にてテイスティング

秘密の貯蔵庫で「自分だけの一本」をハンドフィル

今回の訪問は運良く完全に貸切状態でした。

 約300もの樽が眠る貯蔵庫で、樽から直接瓶詰め(ハンドフィル)をするという、最近の蒸留所ではなかなかない幸運に恵まれました。

私はNZピノノワール樽の原酒を選びました。

カードローナ2015年の原酒

それは、創業者の母ジュディスさんが所有する2015年の初年度樽と同じ場所で眠っていた、まさに「一期一会」の一本です。

↓(熟成庫でハンドフィルの様子)

「温度」と「食」の実験室

テイスティングルームでは、担当のダンさんが魔法のような実験を見せてくれました。

氷、常温、そしてお湯で温めてその変化を楽しみます。 

カードローナ蒸溜所にて、温度変化の実験

冷やすと苦味が顔を出し、お湯を加えると香りが爆発する。

しかし、私の一番のお気に入りはやはり「常温」。

樽本来の美しい香りを最もピュアに楽しめるのは、やはりこの温度でした。

そして、99.9%の人が絶賛するという「ヤギのチーズ×地元の蜂蜜(ブランチクリーク)」とバーボン樽のペアリング。

カードローナ蒸溜所にて、フードペアリングの様子

クリーミーなチーズと濃厚な蜂蜜が、ウイスキーのバニラ感を究極まで引き立てるそのマリアージュは、まさに「神業」でした。

野生のエネルギーを味わう「至高のジビエ」

併設のレストランでいただいた料理も、驚くほど高レベルでした。

特に印象的だったのは、「フィヨルドランドの野生の鹿肉(ベニソン)」です。

牧草ではなく、深い森の苔を食べて育った鹿の肉は、臭みが一切ありませんでした。 

大自然に囲まれた屋外の席も人気だそうですが、私は紫外線の強さ(日本の7〜9倍!)を考慮して、快適なレストランの中でその滋味を堪能しました。

スコッチの名門が認めた「ニュージーランドウイスキー」

2023年、カードローナ蒸留所は「インターナショナル・ベバレッジ社」の傘下に入りました。

 この会社は、あの「オールド・プルトニー(Old Pulteney)」や「スペイバーン(Speyburn)」といった、スコットランドを代表する名門蒸留所を数多く所有している世界的なグループです。

そんな本場の名門たちを支えるプロフェッショナルたちが、このニュージーランドの若き蒸留所が産み出す原酒のクオリティに惚れ込み、その未来に大きな投資を決めたのです。

家族の全財産を投げ打って始まった小さな夢は、大手資本が入ることで、安定して原酒を熟成させられるようになりました。

創業者のデジレーさんも、もちろんチームに残ったままの買収です。

お花だらけのカードローナ蒸溜所

パンデミックが起こらなければ、もしかしたらまだ創業家の持ち物のままだったのかもしれません。

しかし、大手資本が入ることで荒波を乗り越え、今まさに新しいケミストリーが生まれようとしています。

日本にはまだ正規輸入のないカードローナ。 

この貴重な樽出し原酒は、ぜひ、Bar Little Happinessのカウンターで。 (オンラインショップ分はソールドアウトしております)

店主が購入してきたカードローナ蒸溜所の原酒

【店主・谷本の補足】 このカードローナ蒸留所の記録は、現地での実体験をもとに綴っていますが、私の英語力は0のため、現地通訳を頼んで訪問しています。現地通訳はウイスキーの知識は0であり、補足し合いながらの体験となりました。帰国後、改めて自分なりに調べ直し、ウイスキーLoverとしての考察と解釈を加えて構成しました。

出逢いは必然。Rum&Whiskyハイボールの世界へようこそ。


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【この記事を書いた人】

谷本 美香(Mika Tanimoto)
株式会社Little.m 代表取締役/オーナーバーテンダー

広島・流川で2006年からウイスキーとラムの専門店「Bar Little Happiness」を営む。国内外の蒸溜所を訪ね、造り手の話をコラム「ウイスキーとラムの手帖」に綴っている。広島市優良技能者。

「ウイスキーもラムも、造り手の想いに触れたとき、もっと美味しくなる」

【お店の情報】📍 Bar Little Happiness

広島市中区流川町5-14 Rolling流川 1F
月〜土 19:00〜24:30/日 19:00〜24:00(店主が蒸溜所へ旅に出る日はお休み)
ノーチャージ・予約不要

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🛒 遠方の方はオンラインショップからもお求めいただけます。