天使も広島がお好き?——桜尾・宮の鹿に宿る、欲張りな天使たちの話
2026.2.21
廿日市の風と、欲張りな天使たち
桜尾蒸留所を訪れると、撮影禁止エリアで出逢える天使がいます。
熟成庫の扉が開いた瞬間、押し寄せてくるのは、濃密なウイスキーの香りと、ひんやりとした空気。
そこは、外の喧騒とは切り離された、時間がゆっくりと流れる空間です。
その薄暗い空間で、樽を見守るようにいるのが……宮ノ鹿くんです。
私、この子に会いたくて、何度も足を運んでいます。
今回は、桜尾の熟成庫を守る「宮ノ鹿(MIYANOSHIKA)」という存在、そして彼らが天使と共に作り上げる「魔法」についてシェアします。
(↓熟成庫に入った気分になれます)
「宮の鹿」の正体
「宮の鹿」は、桜尾蒸溜所でのみ購入できる限定ボトル。
ロットNOがあるため、ロットごとに味が違います。
一期一会の出逢いです。
瀬戸内の海風が吹き抜ける「桜尾貯蔵庫」と、深い緑と霧に包まれた「戸河内貯蔵庫」。
この全く異なる二つの環境で眠る樽たちを、静かに見守っているのがこの鹿です。
古来、鹿は神の使いとされてきました。
この「宮の鹿」は、樽の中でウイスキーが少しずつ色づき、香りを深めていく過程をすべて見届けています。
「今日の潮風は少し強いな」「山はまだ冷え込みそうだ」
そんな対話を、ウイスキーという液体を通じて行っている……そんな物語が、この一本には詰まっています。

エンジェルシェア(天使の分け前)の科学とロマン
ここで少し、ウイスキー好きなら知っておきたい「小ネタ」を挟みましょう。
ウイスキーが熟成庫で減っていく現象を「エンジェルシェア(天使の分け前)」と呼びます。
そもそも、なぜ減るのか?
樽は生きています。木目の隙間から、ほんの少しずつ水分やアルコールが蒸発していきます。
これを昔の人は「天使が飲んでしまった」と表現しました。なんて粋な表現でしょう!
場所によって「天使の好み」が変わる?
スコットランドのような寒い場所では、年間2%ほど。
ですが、ここ広島の環境は、スコットランドのそれとは大きく異なります。
夏の刺すような日差し、冬の厳しい冷え込み。そして瀬戸内ならではの湿潤な空気。
広島の夏はもっと欲張りです。
湿度が低いと水分が先に飛び(度数が上がる)、湿度が高いとアルコールが先に飛ぶ(度数が下がる)という性質があります。

海側の桜尾、山側の戸河内。
宮の鹿くんは、その両方の「分け前」をテイスティングしながら、最高のタイミングを見計らっているのかもしれませんね。

蒸留所限定ボトル「宮の鹿」
神々しく光るのは、宮島の鳥居です。
宮島といえば、「神の島」と崇められてきた自然豊かな島で、広島が誇る世界遺産です。
このウイスキーを口に含んだとき、鼻に抜ける香りは、まさに「天使たちが残してくれた宝物」。
そう思うと、グラスの中の一滴が、いっそう愛おしく感じられませんか?
広島の空気、潮風、そして宮の鹿くんが見守った時間。
蒸留所を訪れて、もし宮の鹿くんに逢えたなら、その時の興奮をぜひ教えてください。
蒸留所では買えても、その場でゆっくりグラスを傾ける時間はなかなか取れないものです。
だから、最後はリトハピで🥃
私と一緒に、そのロットの物語を紐解きましょう。
出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。

【谷本からの補足】 この宮ノ鹿に関する記事は、公式情報が少ないため、一部谷本の個人的な考察や解釈が含まれています。 ご了承ください。
【この記事を書いた人】
谷本 美香(Mika Tanimoto) 株式会社 Little.m 代表取締役 / オーナーバーテンダー
広島県広島市で20年続くRum&Whisky専門店「Bar Little Happiness(リトルハピネス)」店主。
2006年の創業以来、ウイスキーとラムの感動を伝える専門家として活動しています。
バックバーには1,000本を超える希少なレア銘柄から、地元広島の「桜尾」まで幅広く取り揃えています。
• 多店舗経営: 本店に加え、カジュアルに愉しめる姉妹店「Rum&WhiskyハイボールBar」を直営。
• オンライン事業: 全国へ厳選ボトルを小瓶で届けるオンラインショップ運営。
• 執筆・情報発信: 専門コラム【ウイスキーとラムの手帖】を執筆。
・創業ストーリー:22歳、ワーキングプアだった私が見つけた光。
「ウイスキーもラムも、作り手の想いに触れたとき、もっと美味しくなる」
Definitely very recommended, I hope to be able to come back here in a future Japan trip! Thank you so much, cheers from Italy!