22歳、ワーキングプアだった私が見つけた光。
2026.1.08
2026年。当店は20周年という大きな節目を迎えます。
この1年は、これまで紡いできた「20の記憶」を、感謝を込めて振り返っていきたいと思います。
第一回は、2006年。
お店を始めたばかりの、あまりに無力だった私の話です。
「私は一体、何がしたいんだろう」
大学を卒業して就職したものの、すぐに退職。
やりたいことも見つからないまま派遣で働いていた22歳の私は、ひょんなご縁からカフェバーを創業することになります。
「やってみよう!」
根拠のない期待と勢いだけで、学生時代のバイトで貯めた100万円を握りしめ、本屋で見つけた『憧れのカフェ』を片手に作った、底辺DIYの、あまりに小さなお店。
でも、幕を開けて待っていたのは、夢見た場所とはほど遠い、泥臭い現実でした。
昼間は派遣で働き、夜は自分の店を開ける。
実態は、世に言う「ワーキングプア」そのものでした。
当時の私は、お酒もほとんど飲めない。経営の知識もゼロ。
いざカウンターに立っても、
「何がわからないのか、それすら分からない」
自分が作ったはずのおもちゃ箱のような店内で、ただ時間だけが過ぎていく。
出口のない暗闇をぐるぐると這い回っているような、強烈な焦燥感。
「何者かになりたい」と願えば願うほど、現実に打ちのめされる毎日。
「どうにかして、この状況を変えたい」
「何者かになりたい」
現状を打破するヒントを求めて、分厚いタウンページ(電話本)をめくっていました。
ようやく見つけた『バーテンダースクール』という文字。
それが、私の運命を動かす最初の鍵になりました。
必死にすがりつくように門を叩き、シェイカーの振り方から学び始めました。
そうしてお酒の世界の入り口に立ったあと、私は、運命の出逢いをしたんです。
「ウイスキー」という存在です。
ほとんどお酒が飲めなかったはずの私が、その一滴に秘められた香りと、数十年という長い歴史の深さに、初めて魂を揺さぶられました。
「美味しい」という言葉以上に、「なんて面白い世界なんだろう!」
純粋な好奇心が、私の真っ暗な足元に、一筋の、まばゆい光を差し込んでくれました。
そこからは、ただ、がむしゃらでした。 でも、現実は甘くない。
何も分からず、毎日が「悔しい」の連続。
周りに指摘されるたび、能力が伴っていないのに、プライドだけは一人前に高くて。
強気な姿勢とは裏腹に、心の中はボロボロでした。
自信がなさすぎて、毎日毎日、ただ不安で、吐きそうでした。
「誰か助けてほしい」
「でも、自分でどうにかするしかない」
お金がない。 理解してくれる人がいない。 相談できる人がいない。
たった、一人ぼっち。
正直、必死すぎて当時の記憶はほとんどありません。
けれど、あの暗闇の中を、一歩ずつ、泥を這いずりながら進んできたから、今の私があります。
20年前の、あのボロボロで、何者でもなかった私へ。
そして、そんな未熟な私を見捨てずに、今日まで見守ってくださったお客様へ。
2026年、最高に深い感謝を込めて。
あの日の私が暗闇で見つけた一筋の光を、今度は私が一杯のグラスに込めて、あなたにお届けします。
出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。
Bar Little Happiness 谷本美香
Definitely very recommended, I hope to be able to come back here in a future Japan trip! Thank you so much, cheers from Italy!
【この記事を書いた人】
谷本 美香(Mika Tanimoto) 株式会社 Little.m 代表取締役 / オーナーバーテンダー
広島県広島市で20年続くRum&Whisky専門店「Bar Little Happiness(リトルハピネス)」店主。
2006年の創業以来、ウイスキーとラムの感動を伝える専門家として活動しています。
バックバーには1,000本を超える希少なレア銘柄から、地元広島の「桜尾」まで幅広く精通しています。
• 多店舗経営: 本店に加え、カジュアルに愉しめる姉妹店「Rum&WhiskyハイボールBar」を直営、経営。
• オンライン事業: 全国へ厳選ボトルを小瓶で届けるオンラインショップ運営。
• 執筆・情報発信: 20年の経験を凝縮した専門コラム【ウイスキーとラムの手帖】を執筆。