カリラ(Caol Ila)深掘りシリーズ Vol.1
2025.11.25
【美学】カリラ:アイラ島の「女性的なエレガンス」と、その歴史の裏側
アイラ島――世界中のウイスキーLOVERが憧れる、強烈なピートスモークの聖地です。
ラフロイグやアードベッグのような「爆発的な個性」の男性的なイメージに対して、鮮烈な女性的なエレガントさを醸し出すのが、カリラ(Caol Ila)です。
私自身、元々このスモーキーなウイスキーがなぜ好きな人がいるのか不思議でした。
その答えを探すため、初めて海外の蒸溜所の訪問先に選んだのが、アイラ島でした。
蒸溜所訪問の記憶と、清掃が行き届いた感動
私がアイラ島を訪れたのは2008年頃。
当時は観光客はまだ少なく、特にアジア人で女性となると珍しいらしく、どこの蒸溜所も温かく歓迎してくれたのを覚えています。
その時稼働していた全ての蒸溜所を回った中で、行く前と行った後でイメージが劇的に変わったのが、カリラでした。
当時のアイラ島の蒸溜所は、まだどこか伝統的で、良い意味で「適当な感じ」で作っている場所も多かったのです。
サンドイッチ食べながら蒸溜したり、鳥たちが出たり入ったりしていて糞だらけ・・・とか💦
しかし、このカリラだけは違いました。
清掃が行き届いていて、全てがピカピカに磨き上げられ、ポットスチルに太陽の光が美しく光っている姿に感動しました。
ポットスチルの横は一面ガラス窓になっており、アイラ海峡を眺めることができる。
当時の写真がほとんど残っていないのが残念ですが、あの光景は私の脳裏に今もしっかりと焼きついています。
あの美しく、清浄な空間こそが、カリラのエレガントでクリーンな酒質の源だと確信しました。

潮風が造り上げた、異端の「エレガンス」
カリラが他のアイラモルトと一線を画すのは、その個性です。
アイラ島でありながら、そのスモークは重くなく、どこか清涼感のある上品なピートと、澄み切った潮のニュアンスを兼ね備えています。
水へのこだわり:
豊かなピーティーさを持ちながらもクリーンな酒質を生み出す秘密の一つは、近くの湖から引かれる水。この水は、周辺のピート層を通り抜けてくるため、穏やかなピートの風味を原酒に与えます。
「海峡の女王」の立地:
ジュラ島からの激しい潮風を受けながらも、その立地はまさに絶景です。
この環境が、カリラ特有の塩味のある(ソルティーな)味わいを育みます。
アイラ島の「影の支配者」としての歴史
カリラは、その長い歴史のほとんどを、シングルモルトとして脚光を浴びることなく過ごしてきました。
実はカリラは、アイラ島の中でも最大級の生産能力を誇り、製造される原酒の大半が、ジョニー・ウォーカーをはじめとする世界的なブレンデッドウイスキーの重要な構成要素として供給されてきました。
彼らは、表舞台に出ずとも、世界のウイスキーの味わいを支える「縁の下の力持ち」であり続けてきたのです。
その圧倒的な供給力と信頼性こそが、カリラの歴史における真の重要性を示しています。
次回は、このカリラの数奇な創業と困難な歴史、そしてシングルモルトとして開花するまでのドラマに深く迫っていきます。

出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。
Bar Little Happiness 谷本美香
【次なる物語を見逃さないために】
カリラ深掘りシリーズVol. 1お読みいただき、ありがとうございます。
Bar Little Happinessの公式Instagramでは、このブログの更新情報に加え、限定ボトルの入荷速報を、ストーリーやフィードで発信しています。
https://www.instagram.com/littlehappiness7
ウイスキーの深い「物語」の続き(Vol. 2)や、日々の新しい出逢いを見逃さないためにも、ぜひフォローをお願いします🥃
カリラの物語 Vol. 2でお会いできるのを楽しみにしています!