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ヘリオス酒造とジャングリア ── 樽が呼吸する「黒い蔵」と、鳥の視点で巡る北部の旅

2025.11.21
ヘリオス酒造 貯蔵庫 ウイスキー樽と黒い壁

那覇から離れた、沖縄本島北部。

いま世界中から熱視線を浴びる「ジャングリア(JUNGLIA)」の空を滑空し、鳥の視点でやんばるの森を感じてきました。

けれど、今回の旅の目的地はもう一つあります。

その森の深部、名護市許田。

ジャングリアから車で30分ほどの場所に、歴史を刻む「ヘリオス酒造」があります。

今回は、ウイスキーとラム酒、そして沖縄の自然を愛する方へ。

酒造所の哲学に触れ、最後は地元で愛される隠れ家のお蕎麦屋さんで締める。

そんな大人のための北部ルートを綴ります。

ヘリオス酒造 貯蔵庫 ウイスキー樽と黒い壁

やんばるの森に育まれた、許田の清らかな名水

酒造りでまずこだわりたいもの、それは「水」だとヘリオス酒造は考えています。

豊かな自然と清らかな水を求め、彼らがたどり着いたのが沖縄県名護市許田でした。

許田は、太古の昔から続くやんばるの森に囲まれた「水の都」と呼ばれてきた場所です。

年間を通じて湿潤なこの地方に降った雨は、土のミネラルを蓄えながら地中深くへとしみ込み、ゆっくりと時間をかけて川へ送りだされます。

酒造所の裏手を流れる川の上流。そこにある清らかな天然水こそが、ヘリオス酒造の命の源です。

泡盛ではなく「ラム」から始まった蒸溜所

沖縄の酒造所というと、どうしても泡盛をイメージしがちです。

私も勝手に「泡盛の会社がウイスキー作りを始めた」のだとばかり思っていました。

しかし、ヘリオス酒造はラム酒から起業した蒸溜所でした。

沖縄で取れたサトウキビを原料としたラム酒を製造し、その2年後にウイスキーの製造を開始。

その後にハブ酒、泡盛……と続き、現在の総合酒類メーカーへと至ります。

現在もラム酒の製法は、トラディショナル、アグリコール、黒糖の3つを作り分けており、その多様な挑戦の姿勢には驚かされます。

圧巻の「二の蔵」── 3人のブレンダーが守る琥珀色

今回、「二の蔵」を見学させていただきました。

趣のある建物の壁面が黒ずんで見えるのは、建材の汚れではありません。

泡盛造りに不可欠な黒麹菌の胞子が海風に乗って付着し、繁殖しているからです。

工場全体が黒く染まっていく様は、まさにこの地で力強く酒造りが営まれている、目に見える「呼吸の証」でした。

貯蔵庫に入ると、天井までびっしりと積み上げられた樫樽の壁が広がっていました。

泡盛、ラム、そしてウイスキー。

多種多様な原酒が眠っており、蔵全体から熟成の芳醇な香りが放出されています。

案内の方によると、ここには3人のブレンダーが在籍しているそうです。

沖縄の暑く湿潤な気候は、原酒の熟成を劇的に速めます。

樽が呼吸し、太陽のエネルギーを浴びながら変化していく原酒たち。

その繊細な変化を見逃さないよう、3人のブレンダーが厳格かつ緻密に管理を行っているとのことでした。

この熱帯の地で安定した品質が生み出される背景には、彼らの鋭い感覚があるのです。

樽熟成が紡ぐ、未来への約束

ヘリオス酒造の根幹にあるのは、創業者・松田正氏の「酒は樽で寝かせると旨くなる」という信念です。

樹齢70年以上の上質なホワイトオーク樽を使い、伝統的な泡盛に洋酒の技術を持ち込んだ「くら」などは、その結晶と言えるでしょう。

そして、蔵の中で特に心に響いたのは、彼らが未来へ託すロマンでした。

貯蔵庫には、2000年の沖縄サミットを記念して詰められた特大の樽があります。

ヘリオス酒造 貯蔵庫 ウイスキー樽と黒い壁

そこには、「100年後も泡盛が楽しめる、平和な世の中であってほしい」という創業者の強い願いが込められていました。

沖縄戦で多くの古酒が失われてしまった悲しい歴史があるからこそ、文化を再興し、平和と共に未来へ繋ぐ。

樽の中に眠る琥珀色の液体は、100年後の沖縄へ向けたタイムカプセルのような存在だと感じました。

旅の戦利品と、立ち寄り「そば」情報

帰りにいくつかのボトルを購入しました。

ウイスキー「暦)」、特に香りの豊かさが際立つ「くら シェリーカスクフィニッシュ」、そして創業の原点であるラム「ティーダ」などです。

(↑リトハピで提供中なので、お声がけください)

見学後のBARでは、様々なお酒を無料有料含めて、かなりの銘柄楽しめますよ!

そして、酒造所見学のあとはぜひここへ。

ヘリオス酒造から徒歩数分の場所にある、お蕎麦屋さん「守良夜」です。

ここのお蕎麦は絶品!

豚足も今まで食べた豚足の中で一番美味しかったです!

ヘリオス酒造で歴史に触れたあと、優しい出汁の香りに包まれるランチタイムは格別です。

ジャングリアで空を飛び、ヘリオスの哲学に触れ、美味しいお蕎麦で締める。

これが、私が提案したい沖縄北部ルートです。


最後に、今回の旅で切り取った景色をシェアします。

ジャングリアの圧倒的なスケールと、ヘリオス酒造の静謐な空気感。対照的な二つの「沖縄」を感じていただければ幸いです。

▼ JUNGLIA:

(↑かなり動画だとシュールですが・・・・笑)

空から見下ろすやんばるの森は、生命力に満ち溢れていました!

お食事も、とっても美味しかったです!!

▼ HELIOS DISTILLERY:

▼ LUNCH:

ヘリオス酒造からすぐ近く。「守良屋」。

出逢いは必然。Rum&Whiskyの世界へようこそ。

Bar Little Happiness 谷本美香