広島の夏を、全国のBarへ届ける。──桜尾からの、季節の便り
2025.7.07
お酒が好きな方なら、この時期、いろんなお店のInstagramで見かけて、
「これ、何だろう?」と気になっていたかもしれません。
SAKURAOから届く、夏の贈りもののことです。
今年もまた、リトハピにも届きました。
桜尾(Sakurao Distillery)の方々が、毎年この時期になると
「いつもお世話になっている全国のバー」へ、
季節のご挨拶として、お菓子を贈ってくださるのです。
ただ、それは単なるお中元とは違います。
広島という土地と、桜尾というブランドが大切にしている“想い”が詰まった、
確かな意味を持つ、夏の便りです。
今年は「高木 × 桜尾WhiteHerbs」
今年のコラボレーションは、広島を代表する老舗和菓子屋「高木」と、
桜尾の「ホワイトハーブジン」。


ホワイトハーブを生地と杏仁に練り込み、広島レモンのピールを添えて焼き上げた、
和風レモンケーキ でした。
もっちりとしたポンデリングみたいなやさしい食感とともに、
ホワイトハーブの華やかな香りがふわっと広がり、
後からレモンの爽やかな酸味。
甘さも控えめで、広島の夏らしいお菓子に仕上がっていました。
素材、香り、技術。
どれをとっても、広島らしさが詰まっていると感じます。
「地産地消」ではなく、「地産発信」へ
こうした贈り物の中に、私は広島のもう一つの未来の形を見ることがあります。
「地元で作ったものを、地元で消費する」
もちろんそれも大切な考え方ですが、桜尾がしているのは、それだけではありません。
──広島で生まれた価値を、広島の外に届けること。
しかもただ売るのではなく、想いごと、文化ごと届けること。
広島の風土や美意識を込めた商品が、
東京や京都、そして北海道や沖縄のバーのカウンターに届き、
その土地の人たちの五感にふれる。
これは、いわば「地産地消」ではなく、地産他消、あるいは地産発信とも呼べるような取り組みです。
広島に根ざしながら、全国、世界とゆるやかにつながる──
そんな流れが、こうしたさりげない贈り物から生まれていることに、
私はいつも深く感動しています。
Barと繋がる、ネットワーク
桜尾が届けてくれるのは、味だけではありません。
ひとつひとつのBarに、ちゃんと名前を添えて、
手間をかけて、毎年違う形で、届けてくれる。
それがどれほどの想いと継続力を伴うか、Barをやっているからこそ、よくわかります。
こうしたやりとりの中で、
私たちBarもまた、「ただの取引先」ではない関係を育んでいるのだと思います。
飲み手がSNSを通じてその存在を知り、バーテンダーがそのストーリーを語り、
「桜尾、飲んでみたいな」と思ってもらえるきっかけになる。
目立たずとも、ちゃんと伝わる。
地元に根を張りながら、外へと広がっていく。
そんな広島の酒造文化の姿勢に、私は深く共感しています。
広島から、全国のカウンターへ

今年もまた、桜尾からの贈り物を通じて、地域の風土や文化の伝え手となり、
広島という土地の香りと気配が、全国のカウンターに静かに広がっていく──
その一端を担えることを、広島という土地と共に歩ませてもらっているような気がしています。
Bar Little Happiness 谷本美香